前回はオーストラリアの日本食について書いたが、今回は、SAO,FUMIのクラブデビューについて。
当時20歳だった私たちにとってクラブは、輝かしい人行くところで、私たちとは無縁の場所だと思っていた。
しかし、オーストラリアで住み、仕事をしているうちに音楽に乗る楽しさに気づく。どうやら、若者たちが集まる場で、高校生から楽しめる場所とのこと。特にSAOはクラブストリートでのバイト経験から、クラブを極めて客観的に捉えていた。
クラブへ行ってみよう、金曜日がいいらしい、というハウスメイト(無職のアル中)を信じ、SAO,FUMIは真夏の金曜日の仕事終わりに海で待ち合わせを誓う。この当時私たちが住んでいたムルーラバには街にクラブが1つ、すこし隣町まで足を伸ばせばもう2つある、つまり、クラブへ行けば毎週末が同窓会、そんな小さな田舎町。
ハウスメイトに、今日はクラブに行くから帰ってこない、と髪をかきあげながら伝え、仕事中も、今日はこのあとクラブに行くからゴミ捨てが終わったらすぐに帰る、と全員にスカした目で報告。
そして仕事が終わり、ふたりはビーチに集合。海風になびかれながらクラブへ。
この時FUMIは水の代わりにアルコールを飲む生活を送っていたので、既にほろ酔い状態。SAOは少し緊張した面持ちで、一番高いヒールを履いていった。FUMIは、真っ赤な口紅をつけていて、いつもとは明らかに雰囲気が違う。
ワクワクドキドキ、少し緊張する瞬間だ。
なんとなく音がなる方へと向かい、入り口のガードマンに何か聞かれる。よくわからないが入ってはならないと怒っている。なぜだ、と私たちも怒る。
FUMIはビーサン(オースではトンとよぶ)では入れぬ、と言われ、おったまげる。SAOは、パスポートを持っておらず、14歳と間違えられ、「20歳だ!」と言い張り、日本の大学の学生証の生年月日を見せるが、もちろん入れてもらえない。
クラブから出てくる女たちは、みんなブロンドヘアのロングで一人残らず髪を掻き揚げてうまくリズムに乗って腰を振っている。ああ、これがクラブというものか。と感動する日本人の少女2人。
今日は帰らないとハウスメイスに言って、出た家に帰るダサさと言ったら大変。
しかし、いつも水着で出勤しているところを可愛い服で出勤したりと気合は十分だったので、なんとしてもSAOはパスポートを、FUMIはビーサン以外の靴を取りに帰ることに。慣れないヒールで歩いてきたSAOは足の限界を迎えていたが、必死だった。
が、帰る途中には、酔っ払った若者たちに絡まれ怖くなり、一旦近場のスポーツパブへ逃げる。
よくわからないがそのパブも金曜夜ということでクラブのような(クラブを知らないから音が大きくて人が多いところをこの時はクラブと定義していた)空間。ここでいい、ここもクラブなのだと私たちは自分たちに言い聞かせることによって40代の中年男女がうごめくスポーツパブにてクラブデビューを果たした。非常に安全であり、日本の文化などをなぜか中年の男女に紹介するという健全すぎる夜となった。
#YOLO
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