【ワーホリ/オーストラリアでの仕事@ブリスベン】

今回は私がオーストラリアのワーホリで、手に入れた奇妙な仕事の話を共有したい。
 
簡単に言うと、私の手に入れた仕事はクラブストリートで、激しい喧嘩や、訳のわからないスラングがどんなに飛びかっていようとも、聞こえないふりしながら笑顔で、注文通りにホットドックを提供するという極めて単純な仕事だ。
 
 
 
 
 

1.初めての仕事はホッドック屋さん

私が初めてお世話になったのは、クラブストリートのホットドック屋さん。クラブストリートだけあって、周辺はタトゥーショップなどがひしめいている。
 
昼間の平日は、閑散としていて、落ち着いている。
休日の昼間は、オーストラリア名物のマーケットがこのストリートを埋め尽くし、なんともオーストラリアらしい町並みを楽しめる。
 
 
こんなおしゃれな町並みも金・土の夜は姿を一変、ストリートは満員電車状態になる。
酔っ払いと薬中っぽい人しかいない。
オージー(オーストラリア人)は遊びに全身全霊をかけている民族なのですごい盛り上がりだ。
 
 
 ホットボック屋のお店のボスは太っちょオージー。普段は穏やかだが、夜勤になると人格が変わる。
売られた喧嘩は必ず買う。酔っ払いから喧嘩をふっかけられたら、どんなに店が忙しくても喧嘩しだすのだ。パリピ界隈ボスには太刀打ちできないと話題なので、このクラブストリートで、彼に喧嘩をふっかけるものはいない。
 
 
 
 
そんなクラブストリートに迷い込み、パリピの中に混じってひたすらホットドックを笑顔で売り続ける日本人の私。
なんて滑稽だろう。
 
 
 
 

2.与えられたイングリッシュネーム

恥ずかしながら、私は自らを「Sally」と名乗っていた。(フィリピンに留学時代に沙織という名前とサリーという響きが似ていると思ったため)
 
初出勤日、ここでもオーナーに自らをSallyと自己紹介したところ、「Your face is NOT Sally.」となぜか名前を批判された。
 
サリーと名乗っていい顔と名乗っていけない顔があるらしい。なにがだめなのか理解できないまま、立ちすくむ私に、オーナーは「Hey,You’re Sam!」と一声かけて立ち去っていった。
 
 
勤務初日、私は【SAM】になった。
 
Samは男性の名前だと思っていたので、極めて不服だったが、帰宅後、ルームメイトが女性にも使われる名前だと教えてくれたので、Samとしての生活を送る事となった。
 
 




 
 

3.初めてオージーに怒号を浴びせられた日

働き初めて3日目。
ボスに肩を掴まれて「SAM!!!!! Don’t ignore me 」とバク切れされた。
 
 
・・・え?
元気に出勤しているつもりだったのに、ボスは「返事はしろ」と怒っている。
 
 
ああ、I am Sam.
 
ボスのSamといっている声が耳の中でこだまする。
 
そういえば「Sam!」と声をかけられても、自覚症状がないので、無視していた。
初めてオージーに怒鳴られたのは、自覚症状のない名前のせい。
出勤3日目にして、腑に落ちない理由で怒られた。
  
海外で働くとはなかなか難しいものだ。
 
 
 

4.笑顔で乗り越えられないこともある

 
Samという名前にも慣れてきた頃、初めて、金曜日の夜勤に入った。
 
タトゥーが顔じゅうに入っていて、目と口がもはやどこにあるか分からない人、全くろれつが回っていない人などお客様の人柄も多種多様。
 
そんな中でトラブルはもちろんつきものだが、私の大きなミスを一つここで紹介したい。
 
 
 
クラブで女を3人釣った20歳前後のオージー(男性)が来店。
「お腹いっぱいだからいらない」という女達を無視して、見栄を張った彼は、誰も望んでいないホットドックを10個注文してきた。
 
注文を無事聞き、早速ホットドック作成に取り掛かる私。
 
・ホットドックの種類を聞く
・トッピング、オプションを聞く(20種類くらい)
・ソースを聞く(7種類)
本当に想像を絶するレベルで忙しい中で、10個のホットドックの注文の暗唱はなかなか苦しい。
 
ホットドックはスピード勝負で一つ30秒で作れと言われている。絶対5分で提供する。
そのミッションを達成すべく、一気に注文してきた彼の言葉を脳みそで反復しながら、テキパキと作り上げ、袋に入れて、彼に渡そうとしたとき、
 
 
彼がいない。
 
お金もまだもらってない。
 
ここのお店のルールは”酔っ払いは突然消えるので、先にお金をもらうこと”
 
注文が多すぎて、お金をもらうことをすっかり忘れていた・・・
 
 
やばい。
怖くて、ボスにいえない。
さすがに10個のロスを作ることはどうすることもできない。
 
 
意を決して店が超多忙の中、ボスに事情を伝えると
「 F**KING なんちゃら〜〜」と言っている。探してこいとも言われた。
 
 
この中をどう探せばいいのかわからないまま、罪滅ぼしのため、一人でこの道にホットドック10個を持ったまま飛び込んだ。
 
 
もちろん彼はいる訳ない。
日本でもクラブに行ったことがなかった私が、ホットドックとともにオージーに押しつぶされてボロボロになって店に戻った。
 
 
ボスには、スラングで怒られる。
 
実力社会のオーストラリア。
日本のように「新人だから」、というのが全く通用しない。言葉が通じないからなんて言い訳をしたら一発でクビだろう。
 
初めての夜勤を終えた私。 
ホットドック10個を買い取り、朝5時に泣きながら、ホットドックを頬張った。
 
 
この日のバイト代は全て、10個のホットドック代へ。 
 
海外で働くというのはたとえバイトでも本当に大変だ。
 
 
無駄にトッピングをつけて、見栄を張った彼の顔は絶対に忘れない。
 
 
#YOLO

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